
保育園で「歯磨き粉を飲み込んでいます」と聞いたら
保育園の先生から「歯磨き粉を飲み込んでいるようです」と聞いた頃に、上の子の奥歯が生えてきた。2歳と5歳で同じ歯磨き粉を同じ量だけ使ってよいのか、夫婦で迷うご家庭は少なくありません。この記事では、年齢ごとのフッ素濃度と使用量、吐き出し方、飲み込んだときの確認点を整理します。年齢に合った量を保護者が出すことから始めましょう。
この記事の要点まとめ
- 2歳・5歳は1000ppm以上を控え、歯磨き剤の濃度と量を歯科医師に相談します。
- 2歳は少量を付けて泡をふき取り、5歳は吐き出した後に少量の水でうがいします。
- 多量摂取時は量や体調を確認して相談し、仕上げ磨き・間食管理・定期検診を続けます。
2歳と5歳のフッ素入り歯磨き粉、濃度と量をどう分ける?

2歳も5歳も、6歳未満は1000ppm以上のフッ化物配合歯磨き剤の使用を控えます1。
フッ化物と生えたての歯、歯垢について
フッ化物(フッ素)の使い方は、お子様の歯の状態によって異なります。フッ化物とむし歯予防の関係は、水道水への添加も含めて数多くの研究で検討されてきました2。
生えたての歯は表面がまだ未熟です。ただ、歯垢(歯に付く細菌のかたまり)は、歯ブラシでこすらなければ落ちません。
2歳の濃度と量は歯科医師に相談
2歳を含む6歳未満は1000ppm以上の歯磨き剤の使用を控えます1。チューブはお子様に持たせず、保護者が歯ブラシに出して仕上げ磨きに使ってください。
多く付けるほど予防の力が増すわけではありません。吐き出しが苦手な年齢ほど飲み込む量が増えやすいため、少なめの量で毎日続けるほうが現実的です。
5歳の濃度と量を相談し、奥歯まで磨く
5歳の濃度や量も、歯科医師にご相談ください。歯の本数が増え、奥歯の溝や歯と歯の間まで届かせる必要があります。
| 2歳 | 5歳 | |
|---|---|---|
| 濃度の目安 | 1000ppm以上は控える | 1000ppm以上は控える |
| 量の目安 | 歯科医師に相談 | 歯科医師に相談 |
| 磨いた後 | 余分な泡をふき取る | 吐き出し、少量の水でうがい |
生え始めた奥歯は背が低く磨き残しやすいので、仕上げ磨きで歯ブラシを横から当てて確認しましょう。
購入時は濃度表示に加え、味と剤形も確認
パッケージ裏の「フッ化物濃度(ppm)」の表示を確かめてから選びます。そのうえで、量を調整しやすいジェルか、泡状か、ペーストか。お子様が嫌がりにくい味かどうかも見ておくと、毎晩の負担が減ります。
甘い味でもお菓子ではありません。お子様の手が届かない場所に保管してください3。
ポイント
2歳と5歳の濃度や量は、歯科医師にご相談ください。毎回保護者が量って出せば、夫婦のどちらが担当しても同じ使い方を続けられます。
吐き出せないとき、歯磨き粉を飲み込んだとき
吐き出せない時期は、保護者が少量を付けて余分をふき取れば十分です。飲み込んだときは、量と体調を確かめてから対応を分けます。
まだ吐き出せない2歳は、少量を保護者が付ける
2歳では、毎回の量を保護者が決めることが配慮の中心になります。磨き終えたら無理にうがいをさせず、ガーゼやティッシュで口の中の泡を軽くふき取る方法で構いません。うがいを急がせると、水ごと飲み込んでしまうこともあります。
5歳が歯磨き剤をペッと出したあとは、少量の水でうがいをします。何度もすすぐと、歯に残したいフッ化物まで流れてしまいます。
飲み込んだら、量・濃度・時刻・体調を確認
歯磨き粉の誤飲について、全身への影響のリスクは全体として低く、対象研究では重篤な事例は報告されていません3。普段どおり遊んで食べているなら、慌てなくて大丈夫です。
一方、容器から多量に口にした疑いがあるときは、次を確認してください。
- 製品のフッ化物濃度(パッケージの表示)
- 飲み込んだおおよその量(チューブの減り具合)
- 飲み込んだ時刻
- 吐き気、嘔吐、腹痛などの様子
多量の疑いがある場合や症状が出ている場合は、製品を手元に置いて医療機関や中毒110番などの相談窓口へ連絡しましょう。無理に吐かせるのは控えてください。吐いたものが気管に入るおそれがあります。
「フッ素は毒?」への答えは、摂取量と使い方で変わる
フッ化物を含むこと自体より、どれだけ取り込むかで考えます。幼い子どもが局所用フッ化物を過剰に取り込むと、永久歯の「歯のフッ素症」につながる可能性があります4。
だからこそ使用をやめるのではなく、年齢に合った量を守り、手の届かない場所に置く。この二つで日々の摂取量を管理できます43。
ポイント
少しの飲み込みは慌てず様子を見て、容器からの多量摂取が疑われるときは量・濃度・時刻・体調を確認して相談を。
歯磨き粉に加えて、きょうだいで続けたいむし歯予防
優先したいのは、毎晩の仕上げ磨き、間食の時間、定期検診の三つです。フッ化物はその土台の上で働きます。
夫婦でそろえる仕上げ磨きの手順
担当が日によって変わるなら、「量」「奥歯の溝と歯の間」「磨いた後の対応」の3点だけ共有しておくと揃えやすくなります。洗面所にきょうだい2人分の量を書いたメモを貼るのも一つの方法です。
フッ化物入りでも、歯垢をこすり落とすのは歯ブラシの役目。仕上げ磨きは就寝前を優先してください。
間食は回数と時間を決め、だらだら食べを減らす
甘い飲み物を少しずつ飲み続けたり、お菓子を何度もつまんだりすると、口の中が酸性に傾く時間が長くなります。おやつは時間と量を決め、水筒の中身は水かお茶に。寝る前の飲食も控えめにしましょう。
定期検診で歯の状態とフッ化物の使い方を確認
定期検診では、生えたての奥歯やむし歯の初期の変化、磨き残しの場所を確認できます。家で使っている歯磨き粉を持参すれば、量の相談もその場でしやすくなります。
歯科医院でのフッ素塗布は、家庭の歯磨きの代わりではなく併用するものです。フッ素洗口液は、ぶくぶくうがいで吐き出せるかどうかを踏まえて相談してください。
2歳・5歳の磨き方を相談したいとき
飲み込み方や奥歯の磨き残しといった小さな疑問も、相談してよい内容です。当院に限らず、「こんなこと相談しても大丈夫?」と思うことも歯科医院で相談できます。
保護者ご自身の受診が久しぶりでも、お子様の今の様子を整理しておくと、歯科医院での相談に役立ちます。きょうだいで受診するときは、ベビーカーで入れるか、キッズスペースがあるかなどを事前に調べておくとよいでしょう。
子どもの歯の不安が一つ減ると、毎晩の仕上げ磨きの気持ちも軽くなると考えます。まずは今夜、2人分の量を確かめるところから始めてみてください。
よくある質問
Q. フッ素は毒性がありますか?
A. 年齢に合った量の歯磨き粉であれば、飲み込みによる全身への影響のリスクは低いと報告されています3。ただし、歯がつくられる時期に過剰な摂取が続くと歯のフッ素症との関連が指摘されているため、量を守り、手の届かない場所に保管してください4。
Q. 子どもに適したフッ素濃度の歯磨き粉は?
A. 6歳未満は1000ppm以上のフッ化物配合歯磨き剤の使用を控えます1。6歳以降は濃度や量の目安が変わるため、歯の生え方を見ながら歯科医院でご相談ください。
Q. むし歯になりにくいマウスウォッシュ(洗口液)はありますか?
A. フッ化物を配合した洗口液があります。ただし、口に含んだ液を吐き出せることが前提です。使い始める時期や方法は、お子様の様子を見ながら歯科医院で相談してください。
Q. 歯科医院でのフッ素塗布の費用はどのくらいですか?
A. 保険適用の条件や医療機関によって異なります。当院では、愛知県の受給者証をお持ちの中学生までの方に無料フッ素塗布もしております。
参考文献
1. 日本小児歯科学会 | 濃度の高いフッ化物配合薬用歯みがき剤の使用について. https://www.jspd.or.jp/recommendation/article14/
2. Iheozor-Ejiofor Z, Walsh T, Lewis SR, et al. Water fluoridation for the prevention of dental caries. The Cochrane database of systematic reviews. 2024. PMID: 39362658 / DOI: 10.1002/14651858.CD010856.pub3
3. Petrović B, Kojić S, Milić L, et al. Toothpaste ingestion-evaluating the problem and ensuring safety: systematic review and meta-analysis. Frontiers in public health. 2023. PMID: 37927882 / DOI: 10.3389/fpubh.2023.1279915
4. Wong MCM, Zhang R, Luo BW, et al. Topical fluoride as a cause of dental fluorosis in children. The Cochrane database of systematic reviews. 2024. PMID: 38899538 / DOI: 10.1002/14651858.CD007693.pub3
IDA(国際デンタルアカデミー)アストラテックインプラントコース 修了
大山矯正歯科 矯正歯科コース 修了
日本歯科医師会
日本顎咬合学会
愛知県歯科医師会
K.W.C(ホワイトニングサークル)
知立市歯科医師会
日本矯正歯科学会
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